ルート
都心から車や電車で1時間足らず。あきる野市に入ると豊かな自然が迎えてくれます。とくに市を横断するように続く秋川渓谷は、透明度の高い清流と季節によって色合いを変える山肌とのコントラストが見どころです。そんな美しい景観と地元の方々との交流を求めて、秋の深まる、あきる野市へ出かけました。
秋川を後にし、今度は和菓子屋の「お茶ぞっぺの中島屋」へ。あきる野市は、優れた技術を持った匠が暮らす街でもあります。同店の店主・石川和助さんもそのひとりです。“お茶ぞっぺ”とは地元の方言で「お茶菓子」を意味するとか。名物の「とうもろこし最中」をつくる工程を特別に手伝わせてもらいました。とうもろこしの形に焼き上げた最中に、寒天で固めた餡を詰めていきます。
「少しずつ餡を入れようとして何度もヘラで擦っちゃうと、寒天が溶けザラッとした砂糖の食感が出てくるんだよ。一度ですくって入れてみて。そうそう上手上手」と優しく教えてくれました。
出来上がったら、早速試食。焼き立てで香ばしさが残る最中がパリパリと口で弾けます。
醤油と言えば、生産が盛んな千葉や兵庫を思い浮かべるかもしれません。でも実は東京に1軒だけ醤油の蔵元があることをご存じでしょうか? あきる野市の「近藤醸造」さんです。創業者の近藤五郎兵衛の名前から付いた屋号は「キッコーゴ」。明治41年創業で110年を超える歴史があります。
原材料は、国産大豆と小麦、そして食塩だけと極めてシンプル。あきる野市の澄んだ空気と気候で諸味をじっくり寝かせます。
「井戸水も使うなど、あきる野の風土のなかで育つのが、うちの醤油です」と、社長の近藤寛さんが直々に説明してくれました。