1日目
青ヶ島上空
伊豆諸島の有人島の中で最も本土から遠くにある島、青ヶ島。まるで巨大隕石が落ち巨大クレーターができたかのような独特な地形がテレビでもよく取り上げられ、日本で最も人口が少ない地方自治体としても知られている。「人生で一度は行ってみたい島」なのだが、実は青ヶ島、行くのが結構大変な島でもある。
人生初のへリコプター
東京の南の海上に浮かぶ島で、八丈島からさらに先。八丈島─青ヶ島間の定期船は、欠航となる可能性が非常に高いのだ。就航率50~60%!!!ちなみに私は八丈島空港からヘリコプターで青ヶ島へ。あっという間に青ヶ島到着!ヘリコプターに乗っていたのはわずか20分だ。
青ヶ島のヘリポート
乗客が降りて箱に入った荷物も下ろすと、今度は八丈島に向かう人達がすぐに乗りこみ、着陸から数分後にはもう飛び立っていった。それを見送る島の人達。単に観光客の見送りというのではなく、誰か島を離れる人がいたのかもしれない。民宿マツミ荘オーナーの佐々木さんがヘリポートに迎えに来てくれていた。
島の立体模型
青ヶ島は周囲をぐるり崖に囲まれており、海辺には集落は一切ない。島北側の高台に集落があり、約160人の島民は皆そこに住んでいる。島の大半は外輪山に囲まれたカルデラの底だ。そんな島の立体模型が宿泊したマツミ荘に置かれていた。
十一屋酒店
島で唯一のスーパーは「十一屋酒店」。食料品や生活用品をひととおり売っている。そして観光客にとっては、お土産屋さんでもある。ひんぎゃの塩や「還住Tシャツ」、青酎などのお土産が売られている。
島の道
道を下っていくと、両側はこんな草原。ヘリコプターから見たきれいな緑に覆われた台地はこれだったのか。与那国島をちょっと思い出す風景だ。下るにつれ、視界が開けぐるり島を取り囲む海が見渡せるようになってきた。
還住の記念碑
児童公園の一角には、還住の記念碑が設置されている。船に乗り右手を大きく掲げた人物が名主・佐々木次郎太夫。全島避難から50年も経ったらこの時代、もはや大半の人が避難先の八丈島の生まれだったろう。溶岩と火山灰に覆われ田畑もすべて壊滅した島を復興させるのは並大抵のことではなかったはず。
大杉探索ウォーク
ここからが、大杉探索ウォークの始まり。木に縛り付けられたリボンを頼りに雑木林の中に入っていった。最初の頃こそ、舗装されていない雑木林の中の道といった感じだったが、次第に周辺風景は「ジャングル」化してきた。
オオタニワタリ
最初の頃こそ、舗装されていない雑木林の中の道といった感じだったが、次第に周辺風景は「ジャングル」化してきた。なんとこのオオタニワタリ、岩の上に生えているのだ。根っこが団子状になっており、雨によってもたらされる水分をしっかりキープするのだという。
大杉
そして遂に辿り着いた大杉!天明の大噴火でこのあたり一帯は溶岩に飲み込まれたので、その後に誕生した杉。樹齢は230年超とも。幹にはびっしり苔。湿度の高い島なこともあり、苔が至る所に繁殖している。幹も太く、大人三人が手をつないでやっと囲めるほどだ。
ふれあいサウナ
青ヶ島は活動度ランクCの活火山で、外輪山の内側はまさに火口。中央の丸山の斜面などいくつもの噴気孔があり、そこから熱い水蒸気が噴き出していて、地面も熱を帯びている。その地熱を利用した施設が「青ヶ島ふれあいサウナ」だ。元村長もつとめた民宿オーナーの佐々木さんによると、ふるさと創生資金で作られたそう。
地熱釜
「外にさつまいも置いてあるから、蒸して食べろ」なんでも1時間ほどで蒸しあがるのだという。一番左側のところに私のさつまいもが2個入っている。
ふれあいサウナ体験
300円の利用料を払い、サウナ用のマットとタオルを貸してもらい、地下のサウナへ!男性と女性で分かれており、女性浴室は誰もおらず貸し切り状態。細長くてきれいな浴室もある。木で囲まれたサウナはこんな感じ。熱すぎずちょうどいい温度で、割と長い時間いられる。
青ヶ島村製塩事業所
地熱サウナの奥には、製塩工場がある。青ヶ島特産品のひとつ「ひんぎゃの塩」はここで作られる。最近はこだわり塩ブームもあり、塩専門ショップでは必ず見かける塩だ。ひんぎゃの塩の「ひんぎゃ」とは、地熱蒸気の噴気孔のこと。語源は「火の際」説があるという。
地熱釜で蒸したサツマイモ
周辺散策して戻ってきて、一時間前にサツマイモを投入した地熱釜の蓋を開けた。もちろん開ける前にコックを閉じることを忘れないように。中までほっくほく!甘みもあって美味しい!!!
池之沢噴気孔群
観光パンフレットなどで紹介される代表的な「ひんぎゃ」こと池之沢噴気孔群は、この地熱釜とサウナから道を挟んで反対側の崖の途中にある。隙間から白い蒸気が噴き出しているのが遠くからでもよく見える。
三宝港
海沿いに平地が全くない青ヶ島。入江もないため高波の影響をもろに受けてしまい、二本あるうち南側の桟橋は波に飲み込まれっぱなし。三宝港の船揚場は、まるで要塞。クレーンを使って、船を高台まで毎回引き揚げているのだ。
民宿マツミ荘
青ヶ島の民宿は「3食付き」が基本。食堂やレストラン、カフェなどがないためだ。集落には5つの民宿と池之沢に村営キャンプ場があり、私は「マツミ荘」という民宿に2泊した。場所は駐在所の並び。滞在中もあちこち案内していただき、夜は居酒屋にも連れて行ってもらい、島の話をたくさんお伺いすることができた。
民宿マツミ荘のごはん
食事は民宿オーナーの佐々木さんが毎回用意してくれ、一階の広い食堂でいただく。佐々木さんは、元青ヶ島村の村長さんだ!しかも三期12年も務めあげた!!!ごはんは、毎回食べきれないほどの量で、美味しくいただいた。
居酒屋おじゃれ杉の沢
一日目の夜訪れたのは、居酒屋おじゃれ杉の沢。分厚くて長い一枚板のテーブルが迫力もので、よく見たら椅子もすべて丸太。八丈島のお酒「情け嶋」がメジャーなようで、ボトルキープもそれが多かった。