冒険好きのための東京ガイド〜洞窟めぐり編〜

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奥多摩でめぐる東京の”深み”。想像を超える体験があなたを待っている。

深く広がる日原鍾乳洞の内部

思いがけない感動にあふれる場所、東京。そこで得られる多彩で素晴らしい体験の数々。その中でも、特に意義”深く”魅力的なものがある。

都心部の日常から、というよりいっそこの地上から離れてちょっとした冒険に繰り出したいという人にとって、奥多摩は絶好の場所だろう。そこに待つのは、 2億5000万年の歳月を経た鍾乳洞を舞台とした、真の自然とのふれあいだ。

大岳鍾乳洞

大岳鍾乳洞の入口

もしも東京にいながら、胸高鳴る洞窟探検に行きたい気分になることがあったとしても大丈夫。奥多摩にはその冒険意欲を満たす2つの洞窟がある。

まずは大岳鍾乳洞。1961年に初めて発見されたこの鍾乳洞は、翌1962年に一般公開された。周囲を豊かな自然に囲まれるこの鍾乳洞だが、洞内に入れば、また一味違う大自然の威力を余すところなく感じられる。

大岳鍾乳洞を隅から隅まで探検しよう

大岳鍾乳洞は、本格的な洞窟探検は初めてという人にも最適な洞窟だ。ちょっと勇気を出して一歩踏み出す、そんな冒険の醍醐味を手軽に味わうことができる。入口で貸し出されるヘルメットを装着したら全長300メートルの探検のはじまりだ。よじ登ったり、体をかがめて狭い隙間を通り抜けたり、少しずつ奥へと足を進めていこう。

地上も地下も美しい大岳山

大岳鍾乳洞の探検と、周辺の大岳山や御岳山でのハイキングを組み合わせることで、地上と地下をくまなく散策するコースになる。週末にはぴったりだろう。何よりも素晴らしいのは、鍾乳洞の周囲にはキャンプ場があること。都心のホテルに戻る時間を気にせずに、山の上から下まで心置きなく探検できる。家族で思う存分楽しめる最高の小旅行になるはずだ。

大岳鍾乳洞へは、JR五日市線で「武蔵五日市」駅下車、武蔵五日市駅から上養沢行きのバスに乗り、「大岳鍾乳洞入口」バス停で下車。

大岳山でハイキング。

日原鍾乳洞

鍾乳洞入口、その向こうに待ち受ける神秘的な冒険

東京の奥深さを味わうのに最適なもうひとつの洞窟は日原鍾乳洞だ。この鍾乳洞では、自然が生み出す地層の迫力を体感できる。見事な鍾乳石や石筍に加えて、地下に佇む聖域とも言える信仰の名残も見逃せない。

岩肌に反射する照明が洞内の道筋を示す

大岳鍾乳洞と同様、日原鍾乳洞も東京都多摩地域の奥多摩にある。アクセスは、JR青梅線で「奥多摩」駅下車、そこからバスに乗り「鍾乳洞」バス停で下車し、5分ほど歩けば鍾乳洞入口に到着する。

鍾乳洞に足を踏み入れてまず気づくのは地上との気温差だ。洞内の気温は年間を通じて11℃を維持している。

次に目を惹くのは幻想的で美しい岩層だ。天井部から氷柱のように吊り下がる鍾乳石もあれば、洞床から真上に向かって伸びる石筍もある。これらは繊細な天然の石灰岩で、天井部からしたたる水滴で形成される。とても壊れやすく、形成に何百年という歳月がかかるため、触れないように細心の注意を払って進もう。また、洞内ではLEDライトの照明が道を照らし、岩肌に浮かび上がる光と影の美しい模様は壮観だ。

日原鍾乳洞周辺で見られる野鳥

洞内に漂う穏やかな雰囲気も印象的だ。この心の平安こそ、何世紀にもわたって人々がこの洞窟に惹きつけられてきた理由なのだ。もとより日原鍾乳洞は、修験道の僧侶により聖なる場所として尊ばれてきた。洞内には祠など数々の信仰の名残があり、それらは少なくとも西暦774年まで遡る貴重な史跡であることがわかっている。中でも水琴窟は見逃さないように。地中に埋められた瓶に水の滴がぽたりぽたりと落ち、優しい音が響き渡る。得も言われぬ体験だ。

日原鍾乳洞での探検が終わったら、多摩川に少し足を伸ばしてみるのもいい。泳いだり、竿を借りてフィッシングをしたり、釣った魚を料理したり。あるいは、水辺を散策するだけでも十分楽しめる。

この二つの洞窟が、大都市として知られる東京にあるとは想像し難い。しかし都心と多摩地域が織り成す二面性こそ、東京の美しさなのだ。

自らの足で冒険し、自らの目で見つめる時、未だ知らない新しい東京に出会うだろう。

※2018年12月時点の情報です

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