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ツバキと楽しむ、春の大島めぐり

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冬の終わり、常緑の木々にぽっと赤いともしびのように咲くツバキの花。木に春で「椿」と書くのだから、まさに春を告げる植物といえます。
ヤブツバキの自生する大島では、1月中旬から3月下旬まで椿まつりが開催され、多品種のツバキが咲く様子が見られます。島をめぐれば、火山のある島ならではの絶景があちこちに。
ぜひ、ひと足早い春を感じに、大島に出かけてみませんか?

火山活動の賜物、地球の胎動を感じて

強風が吹きすさび、植物の種を吹き飛ばして成長させないため、砂漠となった。

火山島である大島には、日本で唯一の砂漠があります。

大島は島そのものが海底噴火から誕生した活火山のため、噴火のたびに噴出した細かい溶岩の粒や火山灰が降り積もり、黒い砂漠のエリアができました。三原山の東側にある「裏砂漠」は、緑生い茂る他の場所とはあまりにも異なる荒涼とした風景が広がっているため、まるで別の惑星に降り立ったかのような錯覚に陥ります。実際に裏砂漠を歩いてみると、そのスケールの大きさに自然に対する畏敬の念を感じずにはいられないでしょう。

車で裏砂漠に行くなら「月と砂漠ライン」を通って。道が行き止まりになったところに駐車場があるので、そこから歩いて5分ちょっと。緑のトンネルを超えた先に、突然宇宙が広がります。

実は、火山灰はツバキの自生に大きく関係しています。火山灰の水はけのよい土壌は、ツバキの自生に好条件といわれており、海風に強い樹木は家の周囲に植えて防風林に、雑木林から伐採した木の枝は炭、秋にとれる種子は油にするなど古くから島民の暮らしに欠かせない植物となったのです。

道路脇にいきなり現れる地層の断面。約1万5千年間の100回分の噴火の歴史が刻まれている。

「月と砂漠ライン」から大島一周道路に出て元町港に向かう道すがら、右手に大きな地層の切断面が連なる様子が見えてきました。

約1万5千年の間、100~200年毎に発生した噴火による降下火砕物が堆積した地層は、まるで巨大なバームクーヘン。道路建設工事のために山を削った際に発見された、いわば地球の記憶です。途方もなく長い歴史がこの中に詰まっているのかと思うと、眺めているだけでタイムスリップした気分になってしまうから不思議です。

【DATA】
裏砂漠(ウラサバク)
住所:東京都大島町泉津原野
【DATA】
地層大切断面(チソウダイセツダンメン)
住所:東京都大島町野増

おいしいおみやげは、最終日に手に入れて

島で育った牛の生乳と大島沿岸の深層水の天日塩でつくられるバターの色は真っ白。冬から春にかけては牛のストレスも少なく、より味わい深い牛乳がとれるのだとか。

帰りの船に乗船する前にしておきたいのは、冷蔵品や新鮮なお土産の購入。大島を訪れたなら、ぜひ、幻の「大島バター」を手に入れて。

島内に放牧されているホルスタインの牛乳と海水塩のみで製造した大島バターは、なんと1つにつき、6〜7リットル分の生乳を必要とするというのだから大変贅沢なバターです。つくればつくるほどに手間がかかるので、大島牛乳では1週間に一度のみ製造しています。
「スライスしたものを、クラッカーに乗せて食べるとうまいですよ」
というのは、大島牛乳の白井嘉則さん。そのまま食べても、まるでミルクのような味わいです。

かつて「酪農の島」と呼ばれていた大島でしたが、価格競争や消費量の減少により衰退。白井さんは、そんな折、「大島から牛乳をなくしてはならない」と立ち上がったメンバーのひとりです。牛乳は、毎日学校給食で出されるもの。子供たちの健康のほか、牛乳せんべいなど島の大事な産業もなくなってしまうことを憂いました。
現在、大島バターは、厳選した素材の確かさや生乳と塩だけというシンプルさ、海のミネラルを感じさせる味わいから、東京・白金台の八芳園にあるBakery BLUE TREE「Nipponのクロワッサン」の素材に使われ、食通に知られる存在となりました。
生産量が少なく、ファンも多いことから出たら早めになくなってしまうので、スーパーや、大島牛乳に隣接する農産物直売所「ぶらっとハウス」などで見つけたら、それは希少品。ぜひお土産に買って帰りましょう。もちろん、大島牛乳でも購入できます。

【DATA】
大島牛乳(オオシマギュウニュウ)
住所:東京都大島町岡田字新開87−1
TEL:04992-2-9290
営業時間:9:00~15:00
定休日:土、日曜

当日朝7:30に決まる出帆港(元町港または岡田港)にて販売。要予約。

最後に、元町港・岡田港船客待合所内にあるレストラン「イズシチ丸」であらかじめ予約しておいた島島弁当(べっこうずし)をピックアップ。
べっこうずしは大島の郷土料理で、寿司の上にのせる魚の切り身を、わさびの代わりにとうがらし醤油につけたものがべっこうのように艶やかな飴色に見えるため、そう呼ばれています。
島島弁当は、青とうがらしに漬けたメダイを梅ゴマ酢飯にのせ、アシタバの青菜がアクセントになって爽やか。
大島の自然塩とシソで煮た塩こんにゃくやレモン生姜と、三角屋根の赤い部分には大島のお楽しみおやつもついてきます。
ぜひ、帰り際に手に入れて島の味を船や自宅で楽しみましょう。

【DATA】
イズシチ丸(イズシチマル)
住所:東京都大島町元町1-18-3 元町港ターミナル2F
TEL:04992-2-4380
営業時間:船舶の入出港時間帯(当日の出帆港の店舗で営業)
定休日:無休(船の欠航時は休業)

1年に一度のお楽しみ、椿まつりがはじまります

椿まつりでは、かわいらしいアンコさんがお出迎えしてくれる

歌手・都はるみが「アンコ椿は恋の花」と歌ったのは、昭和40年代。
大島への応援歌として当時は一世を風靡したこの曲のアンコとは、大島で「お姉さん」の意味です。2020年1月26日(日)から3月22日(日)にかけて開催される「第65回伊豆大島椿まつり」中の日曜・祝日には、大型船出帆時に色とりどりのテープを持って着物姿のアンコさんとツバキが笑顔でお見送りしてくれます。

「椿の女王コンテスト」も開催され、女性にはアンコ衣装の貸し出しもあります。ツバキの花びら染め体験で、自分で染め上げたハンカチやスカーフをお土産にできるなど、華やかなムードに包まれるこの時期、記事内でご紹介した『椿花ガーデン』も、椿まつりの会場のひとつになっています。

【DATA】
第65回 椿まつり
期間:2020年1月26日(日)~3月22日(日)
https://www.tokaikisen.co.jp/tsubaki_festival/

ツバキの赤い花咲く季節、植物や風景を通して火山のある島のめぐみを感じる旅は、まさに春にふさわしい旅になりそうです。

企画・編集:ことりっぷ編集部
取材・文:もりことり
写真:tsukao

※記事内の情報は、2019年12月時点のものです。

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