御岳山で過ごす、東京の静かな夜
大都会の喧騒を離れ、美しい山にくつろぎのひとときを求める
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  • 奥多摩
  • Nature

1千万を超える人々がひしめき合うコンクリートジャングル、東京。ネオン輝く夜の街の下には地下鉄が縦横無尽に走り、次々と乗客を運びます。「静寂」という言葉とは無縁の場所。けれど、都会の西に広がる東京・奥多摩まで足を伸ばせば、別世界が待っています。大都会の喧騒から離れて、緑豊かな山々や古い町並みを楽しむことができるのです。

心を落ち着けたいときにぴったりなのが、古くから霊山として人々の信仰を集めてきた御岳山です。なによりもいいのは、都心からわずか1時間ほど電車に揺られるだけで、美しい自然にあふれたこの場所にたどり着くことができること(運賃も約1,000円)。今回の旅では御岳山で一泊し、この土地ならではの魅力を探ることにしました。山腹の緑あふれる森林、霊験あらたかなパワースポットや修行の様子、古い町並みなど、さまざまな魅力をお伝えします。

1日目

スタートは新宿駅。毎日約350万人もの人々が利用し、その乗降客数は世界一と謳われる駅です。ここの凄まじい朝のラッシュアワーを体験すると、静寂に包まれた山々は何百万キロも遠く離れた別世界のように感じられ、わずか1時間ちょっと電車に揺られるだけでたどり着けるとはまるで信じられません。でも、新宿駅で電車に乗り込んでから80分、御嶽駅に到着した私の目の前には、まさに日本の山里が広がっていました。

人々が急ぎ足で行き交う新宿駅
混雑するプラットフォーム
都心の街並みが一変
御嶽駅付近の美しい景色

御嶽駅に到着すると、バスに少しだけ乗り、ケーブルカーの滝本駅に向かいます。そこからケーブルカーで御岳山駅(山頂)を目指します。乗車時間は6分間で、険しい山が美しい緑の稜線を描いていました。御岳山駅に到着したら、道なりに歩き、山頂の集落に入ります。

ケーブルカーで山を登る
厳しい勾配と涼やかな緑
山頂の町に到着

森林の曲がりくねった道を15分ほど進むと目の前が開け、住宅や宿坊が点在する狭い通りに出ました。さらに、何度も路地を曲がったり、坂道を上ったりしながら、ようやく集落の小さな参道にたどり着きました。通りには、食事処やお土産屋さんがいくつか並んでいます。

鹿肉カレーライスでお昼を満喫

通りの静かな佇まいに心地よさを感じた私は、いくつかお店をのぞきながら、何回か通りを行ったり来たりしましたが、軽く昼食を取ることにして、静かな食事処に入りました。

店主お勧めの鹿肉カレーライスを注文したところ、これがまた絶品でした。山の冒険の始まりにぴったり。この地域では、鹿が増えすぎないように狩猟が行われています。こうして鹿肉のごちそうをいただくと、この緑豊かな自然とのつながりを深く感じます。

武蔵御嶽神社入口

お腹が満たされて、心も探検の準備が整ったところで、参道に出て、武蔵御獄神社の入口まで歩きました。このすばらしい神社は、約2000年もの間、山岳信仰の中心として御岳山の山頂に鎮座しています。建物そのものも見事で、本殿には手の込んだ色彩豊かな彫刻が施されています。私は境内をしっかりと見てまわりました。森林へとつながるこの場所特有の静けさに、長い間包み込まれていました。

見事な彫刻が施される本殿
長い歴史を持つ神社の特徴的な建物
山々を望む
境内の柏犬

この神社の守り神は狼だといいます。あちらこちらに狼や犬の像が置かれています。面白いことに、ここ数十年でペットの犬と一緒に訪れる参拝者が増え、愛犬祈願が行われるようにもなったそうです。

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