竹芝港から高速ジェット船で2時間弱でたどり着く、東京都心から最も近い島・大島。海と山、自然に囲まれる伊豆諸島最大のこの島には、魚介や農作物、お酒など島民の生活に根付くグルメがいっぱい。
そんな島ならではのグルメを求めて、食で体も心も健やかにすることを目指す、食養生研究家の塚本紗代子さんがひとり旅へ出かけました。
メダイやブダイといった白身魚を醤油と青唐辛子で漬けた“べっこう”は、大島を代表する郷土料理。
このべっこうをはじめ、大島近海で獲れた新鮮な魚や地元の食材を使った料理が楽しめる「雑魚や
紀洋丸」へ塚本さんは向かいました。
オーダーしたのは、べっこう丼のセット1400円。「大島ではわさび代わりに青唐辛子を使うんですよ」とスタッフから聞き、島ならではの食習慣に興味津々。いざ、べっこう丼を頬張ると、「もっちりとした食感! カツオやマグロなど赤身魚の漬けとは違った、白身魚特有の歯ごたえがおもしろいですね。後から追いかけてくる青唐辛子の辛味も、大人な味わいでおいしいです」とにっこり。付け合わせの大島名物の貝・めっかり煮や、魚のすり身を使った“たたきあげ”といった島ならではの料理も堪能した塚本さんは、次なる島グルメへの期待に胸を膨らませます。
べっこうの漬け方は、家庭やお店によってそれぞれ。「青唐辛子の辛味と、醤油とみりんの甘みが絶妙。ごはんが進みますね!」
明日葉のゴマ和えも味わえるざこ定食1750円も人気。クロムツ、メダイ、カサゴなど、その日獲れた魚を提供する
【DATA】
雑魚や 紀洋丸
住所:東京都大島町元町字馬の背262-26
TEL:04992-2-1414
営業時間:昼11:30~13:30 夜17:30~20:00
定休日:木曜
酪農が盛んで、かつて“ホルスタイン島”とも言われたここ大島では、今もなお、大島牛乳が作られています。潮風を受けて青草を食べて育った牛のミルクは、コクがありながらもやさしい甘さが評判。そんな大島牛乳で作るアイスクリームを味わえる「島のアイスクリーム屋 トリトン」へ。
店頭のショーケースに並ぶのは、明日葉や島のりなど島の食材を使ったものから、島の子どもたちの声を元に作ったチョコミントや抹茶まで約30種類ほど。その中から塚本さんは和栗250円と抹茶250円をチョイス。「ベースのアイスクリームが濃厚! 栗も抹茶も、それぞれの素材のバランスが最高です」とほっこり。「子どもたちの喜ぶ顔が見たくてアイスクリーム屋を始めたんです。だから子どもたちが食べたいというものを具現化したい。小さな夢だけど、アイスクリームで叶えてあげられたら」という店主・浅沼務さんの言葉に感激した塚本さん。そんな温かな思いに触れたら、島のグルメだけでなく、島自体を好きにならずにはいられなくなっていきます。
【DATA】
島のアイスクリーム屋 トリトン
住所:東京都大島町元町1-10-9
TEL:04992-7-5425
営業時間:11:00~18:00 土・日・祝 10:00~18:00
定休日:水曜
※夏季は休業なし
昔から焼酎づくりが行われてきた伊豆諸島。ここ大島内でも焼酎がつくられてきましたが、現在唯一残っているのが「谷口酒造」です。建築史家の藤森照信さんによるショールーム“ツバキ城”では、島焼酎の試飲(有料)がOK。
「濃厚な味わいを目指してつくってます」と声をかけてくれたのは、三代目の谷口英久さん。麦やさつまいもを原料に、一人で焼酎づくりを行っているのだそう。そんな谷口さんが作る島焼酎に心惹かれた塚本さんは、早速試飲してみることに。女性におすすめだという“御神火 天上”を口に含むと、「フルーティーで飲みやすい!」と笑顔に。さらにショールーム限定販売の“御神火 ツバキ城”や、12年熟成させた“御神火 超・おやじごろし”もひと口。「香り、甘み、口当たりと、飲めば飲むほど焼酎の奥深さを実感しますね」としみじみ。
屋根に盛った土に芝と椿の木を植えたユニークな外観のツバキ城。2000年に改築されたもの。
【DATA】
谷口酒造
住所:東京都大島町野増ワダ167
TEL:04992-2-1726
HP(http://www.gojinka.co.jp)より購入可。
ショールーム「ツバキ城」で試飲可(9:00~16:00)※有料
定休日:日曜※土曜・祝日は不定休
※要電話予約