#06
たっぷりの木々に安らぐ、東京は奥多摩。
春の訪れとともに、自然の中で思い切りリフレッシュしたいと感じる人も多いのではないでしょうか。都心から電車で約1時間半。東京都下にありながら、巨樹の里ともいわれる奥多摩は、大自然を満喫できるとっておきのスポットです。ステイホーム生活が続き山の緑が恋しかったバースタッフの鈴木望さん(右)、まだ見ぬ東京の景色を探していた写真家のロバート・キルシュさん(左)カップルが、アクティビティや温泉、食を求め、1泊2日の旅に出た。奥多摩町を遊び尽くした旅の記録。
心と体で緑に触れる、森林セラピー。
奥多摩駅まで電車でやってきた2人は、送迎車で〈奥多摩森林セラピー〉のスタート地点に降り立った。今回は森林セラピーのガイドに従いながら、約2時間のゆったりコース・登計トレイルを歩く。さまざまな木々に触れ、緑に包まれる道中には、“奥多摩式森林呼吸法”の実践やティータイム、トレーニングなどコンテンツが盛りだくさん。
「東京生まれ東京育ちだけど、奥多摩に来たのは実は初めて。同じ東京でこの大自然はやっぱりびっくりだな〜。森林セラピーはただ森の中を歩くだけじゃなくて、ガイドさんの解説や呼吸法など、いろんなアプローチで自然を満喫できると聞いて、彼と参加を決めました。静寂の中に足を踏み入れると、なんだか五感が研ぎ澄まされますね」(望さん)
「日本語を学ぶためにドイツから日本にやってきて、写真の仕事を始めてから全国各地に行きました。でも木々に触れたり、匂いまで意識したことはなかったかもしれません。スギ、ヒノキ、ケヤキでも、ぜんぜん違うんですね。ガイドさんの知識量には圧倒されました(笑)。途中の休憩スポットも写真映えしそうだったし、これからもっと人気がでちゃうんじゃないかな」(ロバートさん)
清流が育んだ、名産のわさびに舌鼓。
森林セラピーを終え、お土産を買いにわさび専門店の老舗〈山城屋〉へ。実は、奥多摩は静岡の伊豆、長野の安曇野と並ぶ、指折りのわさび名産地でもある。
「最近、彼と和食屋で本わさびを食べて、そのおいしさにハッとしたところだったんです。わさび漬けは初めて食べましたけど、《チーズわさび漬》は和洋のいいとこ取りでクセになりそう!」(望さん)
「《岩のり風味わさび》なんていうのもあるんですね、白米と合わせてみたいな。ドイツでも日本のわさびは人気ですよ」(ロバートさん)
奥多摩でゆったり宿泊。夜空を見上げてみよう。
奥多摩にある複数のアクティビティを堪能するなら、迷わず宿泊しよう。それに夜が更ければ、都心ではなかなか拝めない鮮やかな星空に出会うことだってある。
「〈荒澤屋旅館〉は1日3組だけで、かつ貸し切り温泉、っていうところが決め手じゃないですかね。久しぶりに2人でゆっくり時間を過ごせました。今回はお休みだったけれど、次は語り部さんの民話語りも聞いてみたいです」(望さん)
「川のそばで気持ちがいいし、星空も最高! ちょっと照れるけど、2人で浴衣に袖を通すだけで気持ちが高まります。近場でもこんなに旅気分を味わえたことが嬉しいですね」(ロバートさん)
2日目は朝からリバーカヤックへ。水面から神秘に触れる。
盛りだくさんの1日目を終え、早めの時間に眠りに就いた2人は翌朝、リバーカヤックをするため多摩川上流の湖へ。実はパーソナルトレーニングに通う望さん、頻繁にハーフマラソンに出場するロバートさんはかなりのアクティブ派だ。「カヤックなら体を動かしつつ、水面からまた違った自然を楽しめるかも」と2人。パドルさばきや転覆時の脱出方法など、陸上で先生の指導を受けたらいざ入水。木漏れ日がきらきらと反射して、水面はなんとも幻想的だ。
「初めてのカヤックで不安もあったけど、想像以上に上手だった彼がエスコートしてくれて頼もしかったです。転覆しなくてよかった〜(笑)。上半身だけじゃなくて、下半身の筋肉も使うんですね。筋トレの成果が出たかも。次は川辺で釣りをやってみたい!」(望さん)
「湖から見上げると、木々が本当に大きく見えますね。自分が大地の一部になったような気がして。カヤックすごく楽しかったです、もっとやってみたい! 今度は2人で、このあたりの山をぐるっと走ってみたいです」(ロバートさん)
リバーカヤックでも新しい発見があった望さん、ロバートさんカップル。奥多摩は他にも日原鍾乳洞や奥多摩温泉、渓流釣りなど魅力的なコンテンツが尽きない。今回の旅で奥多摩に魅了され、さらに仲が深まった2人は、再訪を誓いつつ帰路に就いた。
photo/ Jun Nakagawa text/ BRUTUS
「BRUTUS.jp」より転載